2022-03-14
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、2021年度通期の業績を発表しました。エネルギー、原材料、輸送の大幅なコスト増にもかかわらず、売上と利益を顕著に増加させることができました。
2021年度の連結売上高は、前年比23.8%増の75億5,700万ユーロ(前年:61億400万ユーロ)となりました。特別項目を除くEBITDAは、前年比17.2%増の10億1,000万ユーロ(前年:8億6,200万ユーロ)で、通期の業績予測値(10億ユーロから10億5000万ユーロ)の範囲内に着地しました。グループ内の全部門において好調な業績が得られたのは、主に顧客産業(自動車、建設、輸送、製造など)の堅調な需要によるものです。著しいコスト増および一過性の諸要因の影響により、特別項目を除くEBITDAマージンは13.4%(前年:14.1%)となりました。
ランクセスのCEOであるマティアス・ツァハトは次のように述べています。「私たちは、2021年は成長の年になるとお約束しました。そして、様々な困難を乗り越え、それを実現したのです。急激なコスト増には、主に販売価格の調整により対応することができました。さらに、パンデミック下にも関わらず、4件の買収を達成し、コンシューマープロテクション部門を大幅に拡大しました。これらは全て、現在のランクセスの力強さと安定性を示すものです」
継続事業からの純利益は、予測どおり前年を大幅に下回る2億1,800万ユーロ(前年:9億800万ユーロ)となりました。これは、ケミカルパークの運営企業である合弁会社カレンタ社の株式を売却したことで、2020年度に高い特別利益が発生したことによるものです。
顕著な成長が期待される2022年:但しウクライナでの戦争の影響はまだ見通せず
コストの一層の増加はあるものの、ツァハトは2022年度の業績について楽観的な見通しを持ち、次のように述べています。「エネルギーと原材料の価格上昇は2022年度上半期も継続すると予測しています。グローバルサプライチェーンも依然として脆弱です。しかしながら、2022年度はさらに大幅な利益伸長を見込んでいます」但し、ウクライナでの戦争の影響はまだ推し量ることができません。ランクセスは、2022年度第1四半期の利益は大きく増加すると予測しており、特別項目を除くEBITDAは2億8,000万ユーロから3億2,000万ユーロの間(前年:2億4,200万ユーロ)になると見込んでいます。
再び増配の予定
配当については、今回も増配を予定しています。2022年5月25日にオンラインで開催予定の年次株主総会において、取締役会および監査役会は1株あたり1.05ユーロの配当(前年比5%増)を提案します。配当総額約9,100万ユーロとなります。
パンデミック下の4件の買収
新型コロナウイルスのパンデミックによる厳しい状況にもかかわらず、ランクセスは2021年度に4件の買収を遂行し、コンシューマープロテクション部門を大幅に強化しました。フランスのバイオサイドメーカー、INTACE社の買収により、紙、包装向けの抗菌剤領域が拡大しました。また、消毒・衛生製品のプロバイダーであるテセオ社のポートフォリオを加え、成長する畜産衛生市場向けの製品領域を大幅に拡げました。8月には、米国の特殊化学品メーカー、エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収を完了し、フレーバーおよびフレグランス製品におけるトッププロバイダーの一社に仲間入りをしました。また、米国のインターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス社(IFF)のマイクロビアルコントロール(微生物制御)事業を買収することに合意し、2021年8月に契約を締結しました。IFF社は、物質保護剤、防腐剤、消毒剤向けの抗菌活性成分および抗菌活性製剤の主要サプライヤーです。買収の手続きは2022年度第2四半期に完了する予定です。
部門別業績: 全部門で成長拡大
アドバンスト中間体部門においては、原材料価格の上昇に成功裏に対応することができました。需要も好調で、売上高は前年比19.6%増の19億4,900万ユーロ(前年:16億2,900万ユーロ)となりました。特別項目を除くEBITDAは、前年比7.8%増の3億3,300万ユーロ(前年:3億900万ユーロ)でした。エネルギーと輸送のコスト高は、特に利益と利益マージンの足かせとなりました。特別項目を除くEBITDAマージンは、前年度を下回る17.1%(前年:19.0%)でした。
スペシャリティアディティブス部門は、航空業界の復調の兆し、および、建設、石油、ガス業界の好調な需要の恩恵を受けました。また、原材料価格の高騰にも上手く対応することができました。売上高は前年比16.8%増の22億9,500万ユーロ(前年:19億6,500万ユーロ)となりました。 特別項目を除くEBITDAは、前年比16.2%増の3億2,300万ユーロ(前年:2億7,800万ユーロ)でした。同部門においても、エネルギーと輸送のコスト増加が利益に対してマイナスの影響を及ぼしました。 特別項目を除くEBITDAマージンは、前年から横ばいの14.1%でした。
コンシューマープロテクション部門は、一年を通し非常に好調でした。同部門は、エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収によるポートフォリオ拡大の大きな恩恵を受けました。 この買収による特殊化学品事業は、アドバンスト工業化学品ビジネスユニットのベンジル系製品と併せて、新設のフレーバー&フレグランスビジネスユニットに統合されました。バイオサイドメーカーのINTACE社とテセオ社の買収もまた、売上高と利益の増加に貢献しました。さらに販売量増加と販売価格の上昇も加わって、売上高は前年比21.9%増の15億1,500万ユーロ(前年:12億4,300万ユーロ)となりました。 特別項目を除くEBITDAは、前年比3.4%増の2億7,500万ユーロ(前年:2億6,600万ユーロ)にとどまりました。これは、特にエネルギーと輸送のコスト高および予定外のプラント操業停止に起因しています。特別項目を除くEBITDAマージンは、18.2%(前年:21.4%)となりました。
エンジニアリングマテリアルズ部門の売上高は、自動車業界の需要回復と原材料価格の上昇に伴う価格引き上げの恩恵を受けて大幅に伸長しました。売上高は前年比43.5%増の17億800万ユーロ(前年:11億9,000万ユーロ)でした。 特別項目を除くEBITDAは、エネルギーと輸送のコスト高によるマイナス影響を受けたものの前年比59.6%増の2億4,100万ユーロ(前年:1億5,100万ユーロ)となりました。 特別項目を除くEBITDAマージンは14.1%(前年:12.7%)でした。
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これは、ドイツ・ケルンおよびミュンヘンで3月11日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2021年の総売上は76億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 14,900人です。主な事業は、中間体、添加剤、特殊化学品及びプラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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(2022-0311J)