ランクセス、水素製造に応用可能なイオン交換樹脂を開発

レバチットUP（Ultra Pure Water、超純水）イオン交換樹脂は、PEM電解による水素製造時の水流を連続的に精製するために使用されます。 （写真：ランクセスAG）

ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス（LANXESS）は、「レバチット^®（Lewatit^®）」ウルトラピュアシリーズに、PEM電解（プロトン交換膜電解）での水処理に使用できる特殊なイオン交換樹脂新グレードを開発しました。再生可能エネルギーから得た電力を水素に変換するこのプロセスは、水素の生産を持続可能にするための重要なアプローチと見なされています。これにより、風力や太陽光の変動をより適切に補完することができます。

水素社会への移行において、PEM電解は重要な役割を果たすと考えられています。アルカリ水電解と比較してPEM電解は電流密度が高く、より小さなシステムで水素を製造することが可能です。さらに、高圧排出口を水素充填ステーションに直接接続できることも特長です。

現在、PEM電解は開発が進んでおり、メガワット級の高効率生産が可能ですが、プロセス水の連続的な精製を必要とします。ランクセスは、TOC（全有機炭素）溶出を確実に抑えるため、最適化された「レバチット」ウルトラピュア1242 MD（強塩基性陰イオン交換樹脂、SBA）、「レバチット」ウルトラピュア1212 MD（強酸性陽イオン交換樹脂、SAC）、「レバチット」ウルトラピュア1295 MDのイオン交換樹脂による水の精製を推奨しています。

ランクセスの液体高純化テクノロジーズ（LPT）ビジネスユニットは、PEM電解プラントにおける効率的な水処理の基準を確立するために、複数の主要なガス製造業者と協議を進めています。LPTのテクニカルマーケティングマネージャーのハンス－ユルゲン・ヴェーデマイアーは次のように述べています。「ランクセスの技術的専門知識と高性能イオン交換樹脂を組み合わせることで、システムの水質浄化プロセスをサポートします。予備的な適用試験の結果、プラント条件をシミュレートし、最新の『レバチット』ウルトラピュアイオン交換樹脂を最適な形で使用することが可能になりました。ランクセスは持続可能で環境負荷の低いエネルギー供給を支援しています」

PEM電解でグリーン電力を水素に変換

PEM電解では、プロトン交換膜（PEM）を用いて水を水素（H2）と酸素（O2）に分解します。このプロセスに必要な電力を再生可能エネルギーで賄った場合、CO2の排出量を非常に低い値まで抑えることが可能です。PEM技術は複数の水回路に加えて、水素製造の際に失われる水を補うために、連続的に水を補給する必要があります。

高純度の水が必要

ミネラルなどの不純物があると膜に短時間で大きなダメージを与えるため、プロセス水には脱塩水が使用されます。例えば100 MWのPEMシステムでは、毎時約6,000から7,000立方メートルのプロセス水が循環し、適切な処理が必要になります。

プロセス中の運転温度範囲は50℃～70℃です。これにより、システム構成部品から金属や有機不純物が放出される可能性があります。安定した水素製造とPEMスタックの経済的な耐用年数を得るためには、これらの不純物を常に最小限に抑えることが不可欠です。ランクセスは、「レバチット」ウルトラピュア樹脂と紫外線を組み合わせた特殊なプロセス水処理を開発しました。

イオン交換樹脂による連続的な水回路の浄化

水循環の水質を安定させるために、全水量の3～6%程度の部分流をポリッシャーユニットで連続的に浄化します。ランクセスは、上流のUVランプで有機物（TOC）を酸化した後、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂を組み合わせ、最終的にポリッシャーフィルターを使用することを推奨しています。

液体高純化テクノロジーズビジネスユニットの製品の詳細については、https://lanxess.com/en/Products-and-Brands/Brands/Lewatitをご覧ください。

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これは、ドイツ・ケルンで4月15日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。

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ランクセスについて：

ランクセスは、世界32カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2023年の総売上は67億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 12,800人です。主な事業は、中間体、添加剤、コンシューマープロテクション製品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス（DJSI World）及びヨーロッパ・インデックス（DJSI Europe）の構成銘柄です。

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(2024-0415J)