2014-03-25
ドイツの特殊化学品メーカーのランクセス(LANXESS)は、2013年度通年の業績を発表しました。困難な競争環境が続く中、ランクセスは、2014年度第1四半期の特別項目調整前EBITDAは約2億ユーロを予測しています。これに対し、2013年度同期の特別項目調整前EBITDAは、製造プラント稼働の初期費用など複数の要因が重なり、1億7,400万ユーロでした。
ランクセスは、2014年2月26日に発表した2013年度の業績速報値を確認し、2013年度通年のグループの連結売上高は、前年比9%減の83億ユーロとしました。これは、原料価格の低下に伴い、パフォーマンスポリマーズ部門の製品売価が値下げになったことと、厳しいビジネス環境が主な要因となります。特別項目調整前 EBITDAは、前年比40%減の7億3,500万ユーロとなり、当社の予測範囲内(7億1,000万ユーロ~7億6,000万ユーロ)となりました。これは、製造関連コストの増加と為替差損が影響しました。販売量は微増となりましたが、収益減を相殺するに至りませんでした。特別項目調整前 EBITDAマージンは、8.9%(前年:13.4%)となりました。
2013年度第4四半期において、純利益に影響を与えた重要項目は、パフォーマンスポリマーズ部門(ケルタン・エラストマーズおよびハイパフォーマンスエラストマーズの両ビジネスユニット)とパフォーマンスケミカルズ部門(ゴム薬品ビジネスユニット)における2億5,700万ユーロの減損損失、および経営効率化に向けた「アドバンス」プログラムを推進するための特別損失約3,000万ユーロとなります。その結果、2013年度通年は1億5,900万ユーロの純損失となり、1株あたり利益はマイナス1.91ユーロとなりました。これに対し、2012年度通年の純利益は5億800 万ユーロ、1株あたり利益は6.11ユーロでした。
ランクセスのCFOであるベルンハルト・デュットマンは次のように述べています。「2013年度は、特に合成ゴムビジネスにおける原料価格の変動と競争の激化がマイナスの影響を与えたため、困難な年となりました」
ランクセスの経営委員会は、2014年5月22日に開催される年次株主総会において2013年度の配当金として1株あたり0.5ユーロを提案する予定です。この場合、配当総額は約4,200万ユーロとなります。2012年度の配当金は1株あたり1ユーロでした。
設備投資のキャッシュアウトは、6億2,400万ユーロに減少しました(前年:6億9,600万ユーロ)。営業キャッシュフローは前年比1億9,700万ユーロ減となり6億4,100万ユーロになりました。純金融負債は前年比2億4,800万ユーロ増の17億ユーロとなりました。「第4四半期では、純負債は厳格な運転資本管理により第3四半期時点から9,100万ユーロ減少することができました」と、デュットマンは述べています。
地域別業績
アジア太平洋地域の売上高は前年と同水準を確保し、前年比約3%減の21億ユーロとなりました。パフォーマンスポリマーズ部門およびパフォーマンスケミカルズ部門は、一桁台の前半から半ばのパーセンテージの事業成長率を達成しました。中華圏(香港、中国本土 、台湾)における売上高は、前年に続き10億ユーロ超の好業績となりました。グループの総売上高における同地域の売上高の割合は26%に増加しました。
EMEA(ドイツを除く欧州、中東、アフリカ)地域の売上高は、前年比約5%減の24億ユーロとなりましたが、グループの総売上高における同地域の売上高の割合は29%に増加しました。
ドイツの売上高は、前年比約8%減の約15億ユーロで、グループの総売上高の17%を占めます。
北米地域の売上高は、前年比約17%減の13億ユーロで、グループの総売上高の16%を占めます。
中南米地域の売上高は、前年比約19%減の10億ユーロで、グループの総売上高における同地域の売上高の割合は12%に減少しました。
BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の売上高は、前年比約7%減の20億ユーロで、グループの総売上高における同地域の売上高は前年同様24%を占めます。
事業分野別の業績
2013年度のパフォーマンスポリマーズ部門の売上高は、前年比約13%減の大幅な減少で約45億ユーロとなりました。引き続き厳しい市場環境の下、原料価格の大幅な低下および変動(特にブタジエン)に伴い、製品売価は15%の値下げとなりました。また、為替差損の影響も受けました。ブチルラバーおよびハイパフォーマンスマテリアルズの両ビジネスユニットにおける製造能力増強も行われ、販売量は前年比約4%増となりました。
特別項目調整前 EBITDAは、前年比約52%減の3億8,900万ユーロとなりました。在庫評価減、在庫調整、シンガポールの新ブチルゴム製造プラント稼働の初期費用、製品売価の値下げおよび為替差損が利益に影響を与えました。
アドバンスト中間体部門の売上高は、前年比微減の16億ユーロとなりました。製品売価の値上げが販売量の微減を相殺しました。為替差損も売上に影響を及ぼしました。同部門の両ビジネスユニット(アドバンスト工業化学品とサルティゴ)は、特に農薬業界において堅調な需要がみられました。
特別項目調整前 EBITDAは、前年比約6%減の2億8,600万ユーロとなりました。製品売価の値上げと原料価格の低下が、販売量の減少、製造コストの増加、為替差損による減少分を相殺しました。
パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は、前年比約3%減の微減となり21億ユーロとなりました。これは、特に3%の為替差損、そして製品売価と販売量のわずかな低下によります。
特別項目調整前 EBITDAは、前年比18%減の2億3,100万ユーロとなりました。これは、特に製造コストの増加、加えて原料価格の微増、販売量の減少、製品売価の値下げ、為替差損によるものです。
経営効率化に向けた「アドバンス」プログラム
「アドバンス」プログラムの下、約730名の従業員が2015年末までの希望退職の提案を受け、早期退職あるいは退職金プランに同意しました。このプログラム向けに計上された特別損失1億5,000万ユーロの内、2013年度は1億1,000万ユーロが発生しました。ランクセスは、「アドバンス」プログラムにより、2015年度以降、年間約1億ユーロの削減を目指します。
またランクセスは、完全出資子会社のペルロン-モノフィルGmbHをセラフィングループ(ドイツ・ミュンヘン)に売却しました。
今後の見通し
ランクセスは、2014年の合成ゴムの市場環境は、競争状況および市場需要状況を考慮すると厳しい状況が継続すると見ています。引き続き為替レート(特に米ドル)の大幅な変動、さらに、比較的緩やかなレベルにも関わらず原料価格の変動も同様に続くと予測しています。
2014年度第1四半期の業績はランクセスのズヴェインドレヒト拠点(ベルギー)で発生したストライキが影響するでしょう。同拠点におけるブチルゴム製造は約3週間停止しています。
ランクセスは、製品売価が低い水準であっても一時的な費用が発生しないことで、2014年度通年の特別項目調整前 EBITDAは微増すると予測しています。
ランクセスは、当期の設備投資額は2013年度と同水準を予定しています。そのほとんどは、シンガポールの世界規模のネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-BR)製造プラントと中国のエチレンプロピレンゴム(EPDM)製造プラントの建設に投資されます。両プラントは2015年に稼働開始予定です。2014年度第3四半期には、世界規模のポリアミド製造プラントがアントワープ拠点(ベルギー)で稼働を開始します。2015年度の設備投資額は大幅に縮小され、主に既存プラントの拡張および維持管理に使われます。
ランクセスは2014年5月8日に行われる第1四半期業績レポート報告の際、例年通り、本年度の見通しの詳細を発表する予定です。
2013年度通年 主要データ(単位:100万ユーロ)
| 2012年度 通年 | 2013年度 通年 | 変動率% | 2012年度 第4四半期 | 2013年度 第4四半期 | 変動率% |
売上高 | 9,094 | 8,300 | -8.7 | 2,123 | 2,014 | -5.1 |
特別項目調整前 EBITDA | 1,223 | 735 | -39.9 | 239 | 176 | -26.4 |
特別項目調整前 EBITDA マージン (%) | 13.4 | 8.9 |
| 11.3 | 8.7 |
|
純利益 | 508 | -159 | <-100 | 50 | -204 | <-100 |
1株あたり利益 (EUR) | 6.11 | -1.91 | <-100 | 0.61 | -2.45 | <-100 |
*2012年度はIAS 第 19 号の改訂版に合わせて調整
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これは、ドイツ・ケルンで3月20日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて:
ランクセスは、世界31カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2013年の総売上は83億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 17,300人、世界中に52の拠点を展開しています。主な事業は、プラスチック、合成ゴム、中間体、特殊化学品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)とヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。また、世界的なNPO組織CDPの調査から、気候変動に関して優れた取組みおよび情報開示を行っている企業で構成されるCDLI(Climate Disclosure Leadership Index:気候変動情報開示先進企業)に選定されています。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
www.lanxess.co.jp
本件に関するお問い合わせ先:
ランクセス株式会社 コーポレートコミュニケーションズ
TEL : 03-5293-8005 FAX : 03-5219-9773
lanxess.japan@lanxess.com
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(2014-00014J)