2022-10-24
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、カウテックス・テキストロン社と共同で、両者が開発したポリアミド6で作られた大型プラスチック製バッテリーハウジングの試作品について、総合試験を実施したと発表しました。ポリアミド6(PA6)のようなエンジニアリングプラスチックは、電気自動車向けバッテリーハウジングの設計において、例えば持続可能性、製造コスト、軽量化、経済的な機能統合などの点で多くの利点をもたらします。しかし、このような大型で複雑なコンポーネントが、機械的強度や難燃性などに関する非常に厳しい要件を満たすことができるか、これまで疑問視する声もありました。この点について精密に検証するため、ランクセスはカウテックス・テキストロン社と共同で、今回の総合実験を実施し、ランクセスは素材開発を、カウテックス・テキストロン社は試作品のエンジニアリング・設計・製造工程を担当しました。
ランクセスのe-パワートレインチームのプロジェクトマネージャーであるクリストファー・ホフスは次のように述べています。「量産化に向けた試作品は、ハウジングに関連するすべての機械特性および熱特性試験に合格しました。さらに、ハウジングの熱管理や防漏対策などのソリューションについても開発を進めることができました。これらの試験により、複雑で高い応力のかかる安全重要部品が、技術的に実現可能であることが証明されました」現在、ハウジングのプロトタイプを試験車両に搭載し、日常的な使用への適合性を検証するためのロードテストが行われています。カウテックス・テキストロン社の製品開発ディレクターであるフェリックス・ハース氏は次のように述べています。「私たちは現在、この新技術を量産化するために、自動車メーカーと共同で初めての量産開発プロジェクトに取り組んでいます」
カーボンフットプリントの低減
「計算の結果、プラスチック製ハウジングのカーボンフットプリントは、アルミニウムでの設計と比較して40%以上低減することが分かりました。ポリアミド6の生産は、金属に比べてエネルギー使用量が少ないことに加え、スチールを使用している部分の腐食を防ぐためのカソード浸漬塗装の作業時間を省略できることなどにより、カーボンフットプリントを最小限に抑えることができます」とホフスは述べています。また、熱可塑性プラスチックでのコンポーネント設計により、例えばシートモールディングコンパウンド(SMC)などの熱硬化性素材と比較して、ハウジングのリサイクルが容易になっています。
高い耐久性と耐火性
試作品の試験は、欧州経済委員会のECE R100や中国のGB 38031など、国際的に認められているバッテリー式電気自動車の規格に準拠して実施されました。長さおよび幅がともに約1,400 mmの大型のオールプラスチック製ハウジングは、関連するすべての試験項目でその性能を実証しました。例えば、激しい衝撃を受けた際のコンポーネントの挙動を調べる機械的衝撃試験と、ゆっくり変形させた際のバッテリーハウジングの耐性を調べる圧壊試験の要件を満たしています。また、落下試験や振動試験、底面衝突試験でも良好な結果が得られました。この試験は、大部分が車体床面に収容されるバッテリーにおける、車体構造物の接地や大きな石などによる衝撃に対する安定性を調べるものです。「すべての試験結果は、事前のシミュレーションと計算を裏付けるものです。プラスチック製ハウジングの致命的な破損は、どのような荷重ケースでも発生しないでしょう」と、ハース氏は説明します。また、試作品はECE R100(耐火性)に従い、車外からの火炎に対する耐性も証明しました。
軽量化と製造コストの低減
試作品は、中型電気自動車のアルミニウム製バッテリーハウジングをベースに開発され、大量生産を前提に設計されています。ランクセスのポリアミド6コンパウンド「デュレタン®(Durethan®)B24CMH2.0」をベースにした成形コンパウンドで、単一段階の圧縮成形プロセスにより製造され、再加工を必要としません。衝突に関連する部分は、連続繊維で強化されたポリアミド6ベースのコンポジット「テペックス®ダイナライト(Tepex® dynalite)102-RGUD600」から作られたブランクを局所的に配置することで、特別に補強されています。アルミニウムでの設計と比較すると、約10%の軽量化が可能であり、航続距離、ひいては車両のカーボンフットプリントにも有利となります。ファスナー、補強リブ、熱管理コンポーネントなどの機能を統合することで、金属での設計と比べて個々のコンポーネント点数を大幅に削減し、組立作業や物流作業を簡素化して製造コストを削減することができます。
カウテックス・テキストロン社の新しいモビリティおよび、バッテリーイノベーションの分野におけるランクセスの製品と技術に関する詳細情報は、以下のURLにてご確認いただけます。https://lanxess.com/en/Products-and-Solutions/Focus-Topics/LANXESS-e-Mobility
www.kautex.com/en/mobility/battery-systems
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これは、ドイツ・ケルンで10月12日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
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ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2021年の総売上は61億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 13,200人です。主な事業は、化学品中間体、添加剤、コンシューマー・プロテクション製品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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(2022-1012J)