2022-10-05
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、電気・電子アセンブリ用に新たなポリブチレンテレフタレート(PBT)コンパウンドを開発し、提供を開始したことを発表しました。この度、開発されたガラス短繊維強化グレードからなる新たな製品群は、「ポカン®(Pocan®)E」グレードとして提供されます。用途としては、その耐トラッキング性と絶縁性により、特にe-モビリティおよび電気・電子(E/E)工業のアプリケーションに適しています。
この新たなコンパウンドは、その耐トラッキング性でCTI Aテスト(比較追跡指数IEC 60112)における最高評価の600を獲得しており、IEC 60664-1規格に基づく最高絶縁性クラスの要件を満たしています。ランクセスのPBT製品開発の責任者であるクラウディア・シュミット・ダーリングは次のように述べています。「このような高い耐トラッキング性を有したガラス繊維強化PBTコンパウンドは、以前は市場で容易に入手できるものではありませんでした。ランクセスは、その不足を補うだけでなく、最適化された機械的特性や、優れた流動性、耐加水分解性、難燃性といった、さらなる長所を素材に付与することにも成功しました。加えて、この素材は着色にも非常に適しており、例えばオレンジ色などに着色することもできます」着色への高い適性は、明確な色分けが必要な高電圧コネクタなど、安全性に関わるさまざまな部品にとって重要です。
600Vを超える耐トラッキング性
電気・電子部品用のプラスチック部品は、望ましくない沿面電流に対する高い耐性を持つことがますます求められています。その理由として、電気自動車の大電流・高電圧化、デバイス用部品の小型化、コネクタと端子との金属接点間の短距離化などが挙げられます。
不純物によって促進された導電性パスが熱可塑性プラスチックなどの絶縁素材の表面に形成されると、沿面電流が発生します。その結果として短絡が発生し、最悪の場合はデバイスの損傷につながります。もし絶縁素材が高い耐トラッキング性を有していれば、このような不具合が発生するリスクは低減されます。IEC 60112に準拠したCTI Aテストは確立されている試験方法の一つです。最大CTI A値は600ですが、最高電圧が直流1500Vとなるさらに高い電圧下においても、プラスチックを使用することができます。標準規格IEC 60664/VDE 0110-1の設計ガイドラインに準拠することで、CTIテストの結果を「翻訳」し、より高い電圧向けの部品設計を最適化することが可能です。シュミット・ダーリングは次のように説明します。「このことは、例えば電気自動車の急速充電に必要な非常に高い定格電流でも、ランクセスの新たな『ポカンE』製品群が利用可能であることを意味しています」
湿度や温度にほとんど影響を受けない絶縁性
「ポカンE」製品群に属する新たな構造用材料すべてが持つ基本的な利点は、例えば高電圧コネクタの典型的な動作条件において、温度や湿度にほとんど影響を受けない優れた電気特性です。さらに、製作された部品は非常に高水準の寸法安定性を有し、応力亀裂にほぼ完全な耐性があり、耐化学性も極めて優れています。
流動性と耐衝撃性の向上
CTI Aテスト値で600を達成した新たなコンパウンドには、「ポカンB3215E」、「ポカンB3217E」、「ポカンB3235E」があります。それぞれ10%、16%、30%重量のガラス短繊維で強化されており、同等の標準的な素材と比較して流動性が大幅に向上しています。これにより、射出成形によって、繊細で薄肉な部品の形状を容易に作成することが可能となります。「それに加えて、『ポカンB3215E』と『ポカンB3217E』では、アイゾット衝撃試験のスコアが約40%から50%向上しています」とシュミット・ダーリングは述べています。
加水分解安定性を備えるコンパウンド
加水分解安定性と高い耐トラッキング性を同時に兼ね備えたPBT素材としては、「ポカンB3233HRE」と「ポカンB3216XHRE」の二つが挙げられます。後者の「ポカンB3216XHRE」は、16%重量のガラス短繊維によって強化されており、米国自動車技術会(SAE)の厳格な長期加水分解試験(SAE/USCAR-2 Rev .7)に基づく試験片試験において、最高評価となる「クラス5」を取得しています。「さらに、同等の標準的なコンパウンドと比較して、大幅に高い耐衝撃性と破断伸度を有しています」とシュミット・ダーリングは説明します。「ポカンB3233HRE」には30%重量のガラス短繊維が含まれており、USCAR加水分解試験において「クラス4」の評価を取得しています。このコンパウンドが持つ他の長所としては、高い処理温度でも維持される良好な流動性があります。
「ポカンE」製品群には、難燃性・加水分解安定性を兼ね備え、25%重量のガラス短繊維を含んだPBTコンパウンド「ポカンBFN4231HRE」も含まれています。ハロゲンフリーで難燃性を有するこの構造用材料は、米国の試験機関であるアンダーライターズ・ラボラトリーズ・インクの燃焼性UL94規格の要件を満たしており、試験片の厚みが0.75mmでV-0の分類で合格しています。その高い耐加水分解性は、SAE/USCAR-2 Rev .7の試験片試験において「クラス3」の評価を取得したことで証明されています。
ランクセスのe-モビリティおよび「ポカン」製品群の詳細については、以下のURLにてご確認いただけます。
https://lanxess.com/en/Products-and-Solutions/Focus-Topics/LANXESS-e-Mobility
https://lanxess.com/en/Products-and-Solutions/Brands/Pocan
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これは、ドイツ・ケルンで9月20日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2021年の総売上は61億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 13,200人です。主な事業は、化学品中間体、添加剤、コンシューマー・プロテクション製品の開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
www.lanxess.co.jp
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(2022-0920J)