2021-03-29
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、世界初のカーボンファイバー製スマートフォンの筐体に、ランクセスの熱可塑性コンポジットシート「テペックス®(Tepex®)」が採用されたことを発表しました。今年3月、ベルリンを拠点とするスタートアップ企業、カーボン・モバイル社(Carbon Mobile)は、軽量性、スリムなデザイン、サステナビリティの新しい基準となるスマートフォンとして、「Carbon 1 MK II」を発売します。「ドイツで設計、開発された『Carbon 1 MK II』は、これまで筐体の素材に使われていたプラスチックとアルミニウムを、世界で初めて高度な複合材に置き換えました。これにより、スマートフォンを含めたコネクテッドデバイスの小型化への回帰を加速させ、サステナビリティを推進します」と、カーボン・モバイル社(Carbon Mobile)のCEOであるフィラス・ハリーフェ(Firas Khalifeh)氏は述べています。このスマートフォンの筐体に使われたベース素材が、ランクセスの熱可塑性コンポジットシート「テペックス®ダイナライト(Tepex® dynalite)」シリーズです。この素材は極めて細い1Kの連続カーボンファイバーフィラメントで強化された連続繊維です。「テペックス」の応用開発の専門家であるランクセスのフィリップ・ゲンダーズ(Philipp Genders)は、次のように説明します。「ランクセスの複合材は、高い機械的ストレスを受ける超軽量コンポーネント用に開発されました。その高い強度と剛性により、非常に薄く、かつ日常的な使用にも耐えうる強靭な筐体を実現しています。さらに、マットブラックのカーボンファイバーはスマートフォンの外観にハイテクな印象を与えます」
物理的なハードルを克服するHyRECMテクノロジー
カーボンファイバーは、強靭かつ軽量な構造体の製造に高い適性を持ちますが、同時に電磁シールドとして作用します。外部からの無線信号を遮断し、内部からの信号も通過させずに構造体の外側に分散させる「ファラデーケージ」を形成するのです。このため、テクノロジー業界では、カーボンファイバーでのコネクテッドデバイスの製作は不可能であると見なされてきました。
しかし、4年に及ぶ研究開発の末に、カーボン・モバイル社(Carbon Mobile)のエンジニアは、コネクテッドデバイスに対するカーボンファイバーの可能性を切り開く革新的なプロセスを開発しました。特許取得済みのHyRECM(Hybrid Radio Enabled Composite Material)テクノロジーは、カーボンファイバーに、RF信号を透過させることができる補完的な複合材を融合させるものです。さらに、デバイスの接続性を高めるために、カーボンファイバーの構造には3Dプリンティングされた独自の導電性インクが結合されています。その結果として生まれたのが、世界初となる「無線対応」カーボンファイバー製の素材です。「Carbon 1 MK II」で初めて利用されたこの新技術は、非常に薄くて軽いだけでなく、プラスチックの使用を5%未満に抑えた、強靭なカーボンファイバー製の筐体構造を生み出します。
加工パートナー企業であるモダン・コンポジッツ社(Modern Composites)のエリック・チャン(Eric Chan)氏は、次のように述べています。「ランクセスとその『テペックス』素材は、HyRECMテクノロジーの開発において完璧なパートナーになりました。ドイツの優れた素材の使用によって、当初からこの革新的なテクノロジーを最大限に活用できることをお約束します」
ポテトチップス1袋よりも軽量
F1カーの耐荷重シャーシと同じ構造原理に従って、筐体はモノコック(シングルシェル)として設計されています。その結果として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の極めて高い剛性を最大限に活用しています。筐体内部のスペースを圧迫する補強材が不要なため、スマートフォンの薄型化と軽量化に大きく貢献し、小型化も可能にします。ハリーフェ氏は次のように述べています。「我々の最先端のモノコック設計によって、重さは125グラムで従来のスマートフォンよりも3分の1軽量化しており、厚さもわずか6.3ミリメートルと25%も薄くなっています」
電子廃棄物の少ない世界に向けて
カーボン・モバイル社(Carbon Mobile)は、持続可能な指針に取り組んでおり、新しいスマートフォンにはできる限りリサイクル可能な素材のみを使用するようにしています。「私たちは、世界中の電子廃棄物の削減とサステナビリティの向上に貢献したいと考えています」とハリーフェ氏は述べています。筐体に使用されている複合材は、リサイクルも容易で、新しい用途に再利用することができます。「『テペックスダイナライト』シリーズのすべての製品と同様に、細断してから標準の射出成形機で処理し、単独で、もしくは適切な新素材と混合して、高品質のコンポーネントにリサイクルできます」とゲンダーズは説明します。スマートフォンの耐用年数を延ばすために、すべてのコンポーネントは容易に交換して修理できるように設計されており、電子廃棄物の発生を防ぎます。
新しいスマートフォンと「テペックス」の詳細については、それぞれwww.carbonmobile.comとwww.tepex.comをご覧ください。
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これは、ドイツ・ケルンで3月16日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2020年の総売上は61億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 14,300人です。主な事業は、中間体、添加剤、特殊化学品及びプラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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(2021-0316J)