2020-05-08
新型コロナウイルスの危機下にも関わらず、2020年度第1四半期は堅調
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、2020年度第1四半期の業績を発表しました。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)による経済の低迷にも関わらず、ランクセスは堅調な業績を維持しました。特に、新型コロナウイルスの感染予防に有効な製品を扱う、新設のコンシューマープロテクション部門とスペシャリティアディティブス部門は、好業績を達成しました。主に米ドルの為替の好影響も業績に寄与しました。一方で、新型コロナウイルス危機による自動車業界の一層の低迷により、特にエンジニアリングマテリアルズ部門においてマイナスに推移しました。特別項目を除いた EBITDAは前年同期比9.9%減の2 億 4,500万ユーロ(前年同期:2億7,200万ユーロ) となり、特別項目を除いた EBITDA マージンは14.4% (前年同期:15.7%)となりました。
ランクセスの CEO であるマティアス・ツァハトは、次のように述べています。「これまでのところ、ランクセスは、バランスのとれたポートフォリオによって、新型コロナウイルスのパンデミックによる経済的影響を一定水準に抑えることができました。この危機的状況は未だピークに至っていないと見ています。しかしながら、私たちは安定したポジショニングを確保し、さらには、危機管理における広範な対策をとることで、周到に準備を整えています。最も重要なことは、従業員が健康であり、さらには工場が稼働していることです」
ランクセスの2020年度第1四半期の連結売上高は前年同期比で微減の17 億 400 万ユーロ(前年同期:17 億3,800万ユーロ)となり、継続事業による純利益は前年同期比27.6%減の6,300万ユーロ(前年同期:8,700万ユーロ)となりました。
ランクセスは、第2および第3四半期は、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響は増大すると予測しています。現時点の情報に基づくと、ランクセスは第2四半期の特別項目を除いた EBITDAは2億ユーロから2億5,000万ユーロと見ており、2020年度通期では 8億ユーロから9億ユーロを予測しています。ランクセスは、前回の業績発表時では9億ユーロから10億ユーロを見込んでいました。2019年度通期の特別項目を除いた EBITDAは10億1,900万ユーロを達成しています。
新型コロナウイルス危機下における広範な対策
新型コロナウイルス危機の当初において、ランクセスは、この影響が最小限に抑えられるようにすでに広範な対策を講じていました。最優先すべきは従業員の健康です。厳格な衛生管理などの予防措置、オフィスワーカーの大半を在宅勤務へ一時移行、製造におけるシフト体制の調整などを実施することで、ランクセス従業員の新型コロナウイルス感染率は低く抑えられています。現時点で、世界で31名の従業員が新型コロナウイルスに感染し、そのうち、27名はすでに回復しています。
ランクセスの供給能力への影響はほとんどなく、最大の製造施設は引き続き稼働しています。中国、イタリア、インド、アルゼンチンの工場において、場合によっては政府の要請に応じて、一時的に閉鎖を実施しました。
ランクセスは、流動性をさらに強化するため、重要な措置をとっています。ランクセスは自社株買い戻しプログラムを当面の間、延期することを4月に発表しました。コスト統制によって2020年度は5,000万ユーロから1億ユーロのコスト削減を実施します。さらに、複数の投資プロジェクトを延期することで約5,000万ユーロの投資コストを削減します。また、ランクセスは4月30日付で合弁会社カレンタ社の株式を売却しました。7億8,000万ユーロ(有利子負債と退職給付債務の控除後)の株式価値となり、1億5,000万ユーロの利益分配を得ました(両金額とも税引前)。
ランクセスのCFOであるミヒャエル・ポンツェンは次のように述べています。「新型コロナウイルスのパンデミックの困難な状況を乗り切るため、高い流動性は最優先事項となります。カレンタ社の株式を売却することで、ランクセスは潤沢な流動性は約30億ユーロに増加しました」
監査委員会、経営委員会、経営幹部の報酬減額
新型コロナウイルス危機による困難を乗り切るため、ランクセスの監査委員会、経営委員会、経営幹部の報酬の減額を決定しました。監査委員会メンバーは、報酬の20%、経営委員会メンバーと経営幹部はボーナスの減額となります。経営委員会メンバーは、少なくとも50%減額、経営幹部は最大で25%減額となります。
新部門コンシューマープロテクションは好業績を達成
ランクセスはコンシューマープロテクション製品に一層注力する予定です。これに伴い部門の再編を実施しました。旧パフォーマンスケミカルズ部門に代わって、新たにコンシューマープロテクション部門となり、サルティゴ、物質保護剤、液体高純化テクノロジーズのビジネスユニットで構成されます。これに伴い、無機顔料ビジネスユニットは、アドバンスト中間体部門に移行します。従って、昨年度の数値は遡及修正しています。
アドバンスト中間体部門は、特にアジア地域のアドバンスト工業化学品ビジネスユニットにおいて、新型コロナウイルスのパンデミックによる需要低迷の影響を受けました。無機顔料ビジネスユニットにおける販売量の増加および為替の好影響にもかかわらず売上高の減少を相殺できませんでした。売上高は前年同期比4.5%減の5億5,800万ユーロ(前年同期:5億8,400万ユーロ)となりました。特別項目を除いた EBITDAは前年同期比16.2%減の8,800万ユーロ(前年同期:1億500万ユーロ)、特別項目を除いた EBITDAマージンは15.8%(前年同期:18%)となりました。
スペシャリティアディティブス部門は、厳しい経済環境にも関わらず増収増益となりました。順調な臭素系製品および為替の好影響が、特に、新型コロナウイルスの影響による自動車産業の需要低迷を相殺する以上の結果となりました。売上高は前年同期比2.9%増の4億9,900万ユーロ(前年同期:4億8,500万ユーロ)となりました。特別項目を除いた EBITDAは前年同期比2.4%増の8,500万ユーロ(前年同期:8,300万ユーロ)、特別項目を除いた EBITDAマージンは前年同期の横ばいの17%となりました。
新設のコンシューマープロテクション部門も2020年第1四半期を成功裏に終えました。特に、物質保護剤ビジネスユニットの消毒剤が好調でした。さらには、為替の好影響およびブラジルのバイオサイドメーカー、IPEL社の買収によるポートフォリオの強化も業績に寄与しました。売上高は前年同期比5.7%増の2億7,900万ユーロ(前年同期:2億6,400万ユーロ)となりました。特別項目を除いた EBITDAは前年同期比11.7%増の6,700万ユーロ(前年同期:6,000万ユーロ)、特別項目を除いた EBITDAマージンは24%(前年同期:22.7%)と増加しました。
エンジニアリングマテリアルズ部門は、新型コロナウイルスの影響による自動車産業の需要低迷により減収減益となりました。売上高は前年同期比9.2%減の3億4,700万ユーロ(前年同期:3億8,200万ユーロ)となりました。特別項目を除いた EBITDAは前年同期比24.6%減の4,900万ユーロ(前年同期:6,500万ユーロ)、特別項目を除いた EBITDAマージンは14.1%(前年同期:17%)と減少しました。
2020年度第1四半期 主要データ(単位:100万ユーロ)
| 2019年度第1四半期 | 2020年度第1四半期 | 変動率(%) |
売上高 | 1,738 | 1,704 | -2.0 |
特別項目を除いたEBITDA | 272 | 245 | -9.9 |
特別項目を除いたEBITDAマージン(%) | 15.7% | 14.4% |
|
純利益1 | 87 | 63 | -27.6 |
1株あたり利益(€) | 0.96 | 0.72 | -25.0 |
純金融負債2 | 1,742 3 | 1,705 | -2.1 |
従業員数(3月31日付) | 14,304 3 | 14,327 | 0.2 |
1継続事業の数値
2預貯金と短期性有価証券を除いたもの
3 2019年12月31日付
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これは、ドイツ・ケルンで5月6日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2019年の総売上は68億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 14,300人です。主な事業は、中間体、添加剤、特殊化学品及びプラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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