2018-10-30
電気自動車・自動運転車用の部品に注目
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、自動車、電機・電子、ITおよび、消費財産業での複雑形状のプラスチック部品において、レーザー透過溶着の量産化が益々定着していることを踏まえ、この将来性豊かな技術に適したポリアミド6、ポリアミド66、そしてPBT(ポリブチレン・テレフタレート)のコンパウンド製品群を拡充しています。ランクセスのハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットの溶着技術専任者であるフランク・クラウスは、「この製品群では、例えば車両走行の電動化や運転者支援システムから自動運転に必要な、センサー・ハウジング、コントロール・ユニットやディスプレー・システムを主な成長分野のターゲットに上げています」と述べています。全ての新製品において、レーザー透過溶着に汎用的に使われる近赤外線波長領域での優れたレーザー透過性を特徴としています。
自動化に対応し、扱いやすく、柔軟でバリのない材料
溶着工程では、レーザー光がレーザー透過部品を通して下で受ける主に黒色に着色した部品に吸収されます。これにより下で受ける部品の表面で発熱と溶融が起こり、さらに熱伝導により透過した部品の界面も溶融し、2材料が溶け合うことで溶着が起こります。この工程での利点は自動化が容易で、振動、超音波、赤外線溶着に比べて熱的、機械的な応力の発生が少ないことです。三次元形状や硬質/軟質の溶着も可能です。部品の大きさによっては、サイクルタイムが30秒を下回ることも十分にあり得ると共に、溶着バリは仮にあったとしても非常に少量になります。加えて、溶着界面にバリカスが出ないことで、液体容器では溶着後工程のカス取り洗浄が不要になります。
難燃性で加工が容易
ランクセスの新しいコンパウンドの中で特筆すべき製品は、ハロゲンフリーの難燃性 「デュレタンAKV30FN04LT」です。このポリアミド66は、通常、1.5mmまでの肉厚でレーザー溶着される波長域において非常に優れた光透過性を示します。クラウスは、「これにより、界面での発熱速度が速まり溶融時間の短縮ができ、生産性の向上が可能になります」と述べています。この製品は非常に高い耐トラッキング性を示し、米国のUL94規格(アンダーライター・ラボラトリース社)の難燃性試験で最高クラスのV-0/0.4mmを獲得しています。この難燃性樹脂は熱安定性も最適化されていて、射出成形時に成形品表面に付着するモールド・デポジットの発生リスクを大幅に低減しています。このコンパウンドには金属やハロゲン化合物を使用しない熱安定システムが採用されています。その結果、導通部品との接触における電食も起こりにくくなります。これは高電圧バッテリーや安全スイッチ部品で非常に重要となります。
強靭性と低収縮
その他のポリアミド、3グレードに関しても、電食に対する耐性を高めています。「デュレタン AKV25H3.0LT」は特に高い短期耐熱性要求がある部品の材料として最適です。このポリアミド66は金属・ハロゲンフリーの熱安定剤を使ったガラス繊維強化耐熱グレードです。「デュレタン B31KH3.0LT」はまた、非強化ポリアミド6で、高い靱性要求のある部品に特化したグレードです。「デュレタン BG30XH3.0LT」は、精巧な電子機器ハウジングやコネクターのように、極めて変形や収縮寸法変化を嫌う部品に有効です。このポリアミド6はガラス繊維とマイクロガラスビーズ配合の強化グレードです。
肉厚部においても優れたレーザー透過性
ポリエステルでの製品改革として、「ポカン C1202LT」と、「ポカン C3230LT」があります。これらのグレードはPBTとポリカーボネート(PC)のブレンド材です。非晶性のポリカーボネートをブレンドすることで、厚肉部分でも大変優れたレーザー透過性を示します。この非強化グレード「ポカン C1202LT」の強みは、高い靱性と低反り変形にあります。この材料は既に、防水封止された電子機器を内蔵したテールゲート・ハンドルシステムの量産に用いられています。「ポカン C3230LT」は、30%ガラス繊維強化グレードで、電子部品のハウジングのような高剛性・高強度の要求がある用途向けに開発されました。ガラス繊維強化でありながら、低歪みで外観特性に優れています。
加えて、これらのPBT新製品は、非常に優れた耐加水分解性を兼ね備え、使用における優位性を発揮します。クラウスは、「これらのグレードは耐加水分解性の添加物を加えることで、レーザー光の透過を妨げるため、大きな挑戦となりました」と述べています。これら新製品の使用が見込まれる用途として、湿熱に晒されるエンジンルームに取り付けられる、構造の複雑なセンサー・ハウジングやコントロール・ユニットがあげられます。
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これは、ドイツ・ケルンで10月16日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
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ランクセスについて
ランクセスは、世界25カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2017年の総売上は97億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 19,200人、世界中に74の拠点を展開しています。主な事業は、中間体、特殊化学品、プラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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