2020-05-13
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、世界最北に位置するジン・ウイスキー蒸留所に新しく作られた樽貯蔵施設のファサードに、ランクセスの無機顔料「バイフェロックス® (Bayferrox®)」が採用されたことを発表しました。このファサードは、表面加工したコンクリートを漆黒の顔料で着色し、古い木の焼き板で覆われているような風合いを実現しています。キュロ・ディスティラリー社が所有するこの洗練された外観の建物は、ヘルシンキに拠点を置くアバント・アーキテクト社(Avanto Arkkitehdit Oy)によって設計され、フィンランドコンクリート建築賞を受賞しました。
伝統的な木造倉庫のイメージから着想
全ては「スピリット(ジン・ウイスキーのスピリットと精神のスピリットをかけて)の効いた」アイデアから始まりました。フィンランド人の友人5人が、水上サウナを楽しんでいる際、蒸留所設立というアイデアを思いつき、老朽化した乳製品用施設を使用して、2014年にキュロ・ディスティラリー社を創業しました。この蒸留所は国際的な賞を数多く受賞し、その評判が高まるにつれて生産設備が需要に追いつかなくなったため、キュロ社は、乳製品用施設全体の再設計のために指名入札コンペを企画しました。その結果、複数の新しい建物の設計および工場敷地内の老朽化した歴史的建造物の改修・改造を含む基本計画の作成にアバント・アーキテクト社が選定されました。
ヘルシンキに拠点を置くアバント社の最初の課題は、森林の中というロケーションに、伝統的な木造倉庫に着想を得た1,056平方メートルの漆黒の樽貯蔵施設を設計することでした。これは、敷地内に建設される同形の建物5棟のうち、最初の棟になります。
単なる倉庫以上のものを設計するには
樽貯蔵施設は単なる倉庫ではなく、生産工程の重要な一部分です。「ウイスキー」と銘打つためには、少なくとも3年間オーク樽で熟成されなければなりません。そのため、長い熟成期間後の最終製品の売れ行きを予測することは不可能であるにも拘らず、膨大な貯蔵スペースが必要となります。
加えて、ウイスキーは可燃性の液体であるため、樽貯蔵施設に対する厳しい防火安全規制があります。そのため、貯蔵施設は5つのセクションに分けられ、それぞれの温度と湿度が正確にコントロールされています。空気中に揮散するエタノールの量も綿密に監視することで、爆発のリスクを未然に防止します。
樽貯蔵施設のファサードは、この地域でよく見られる木造倉庫に着想を得ています。外壁は4.5〜6 m x 3 mの標準的なサンドイッチ部材で構成されています(外殻は105 mm厚の鉄筋コンクリート。応力クラスXC3.4、XF1のステンレス鋼で補強。断熱材には150 mm厚のポリウレタンを使用。内殻は80 mm厚の鉄筋コンクリート )。
古いオストロボスニア様式の床板の外観を想起させる外殻で、建物をよりユニークにしています。このファサード部材を製造するために、フィンランドのプレキャストコンクリートメーカー、タラ・エレメント社は、型枠メーカー、フィン・フォルム社の協力を得ました。意匠面の原型は、伐採したての木材ではなく、解体された古い倉庫の板材が使用され、単調な繰り返しが極力生じないようにつなぎ合わせました。
次に、その板材から剥がれそうな部分を全て取り除き、さらに樹脂処理して頑健性を高めました。ここから型を取り、コンクリートを流し込んで成形が行われました。1,500 mm x 4,500 mmの異なる二つの金型(一つは正しい方向を上に、もう一方は上下逆に配置)は、6メートルごとに繰り返されるパターンを作り出しています。1,000キロ近くの注型用樹脂が化粧型枠用としてフランスから取り寄せられました。
ブラックコンクリート:究極のスキルが必要
ランクセスの無機顔料(IPG)ビジネスユニットの建設マーケットセグメントマネージャー、オリバー・フレシェントレーガーは次のように述べています。「当初の計画は、まず着色コンクリートでコンクリート部材をつくり、その後、現場で再度濃い色の塗装をかけるというものでした。しかし、キャスティング試作を何度か行った後、濃黒色のランクセス顔料『バイフェロックス360』をセメントに対して5パーセントの重量で添加することで、追加の塗装は不要となったのです」
コンクリートに合成酸化鉄顔料を使用し、かつ、希望する色を確実に得るには、特に黒色顔料の場合、基礎技術と応用技術の広範な専門性が必要とされます。「漆黒のコンクリートを製造することは究極のスキルが必要です」とフレシェントレーガーは述べています。硬化後のコンクリートを目標とする色調にするためには、顔料の品質と混合具合のみならず、セメントの種類やコンクリート骨材も影響を及ぼします。「この製造工程には、コンクリートと顔料の相互作用に関する詳しい知識が必要なのです」
今回の樽貯蔵施設の建設において顔料メーカーが設計者をサポートしたのはまさにこの理由によるものです。厳しい予算状況のため、このプロジェクトでは標準のコンクリート骨材(K-40)が、フィンセメンティ社の白色セメント(バインダー、兼、色調増強剤)と共に使用されました。
その結果、着色され風合いも再現されたコンクリートで、風化した木材と見間違える外観を再現することができました。
2019年後半、この建物の設計者たちは、キュロ・ディスティラリー社の新しい樽貯蔵施設のファサードによってフィンランドコンクリート建築賞を受賞しました。「樽貯蔵施設の表現力豊かなファサードは、単に巧みに実現されたソリューションというだけではありません。優れた建築と建設の必要条件を見事に満たす設計デザインと技量を兼ね備えた、機能的な生産チームの成果とも言えるのです」 と審査委員長のツオモ・ハール(Tuomo Hahl)はコメントしています。
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これは、ドイツ・ケルンで4月21日に発表されたリリースをもとに、ランクセス株式会社が発表したものです。
この原文(英語)は、以下のURLにてご参照下さい。 http://www.press.lanxess.com
ランクセスについて
ランクセスは、世界33カ国で事業を展開する大手特殊化学品メーカーです。2019年の総売上は68億ユーロにのぼり、全世界の従業員数は約 14,300人です。主な事業は、中間体、添加剤、特殊化学品及びプラスチックの開発、製造とマーケティングです。ランクセスは、持続可能性に優れた企業を選定する「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」のワールド・インデックス(DJSI World)、ヨーロッパ・インデックス(DJSI Europe)および「FTSE4Good」の構成銘柄です。
ランクセスについての詳細は同社URLにてご確認下さい。
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